MISSING PUZZLE

ADHD(発達障害)の私がブログをはじめてみました。

1月の一冊【嘘つきアーニャの真っ赤な嘘】

 

朝、職場に早く着いて、始業時間までの間、コーヒーを飲みながら本を読むのが、一日の始まりのリラックスタイムになっています。今年からは1ヶ月一冊ペースで本を読もうと決めていて、1月は大切な友人から贈り物でいただいたまま読んでいなかった本にしました。

 

 

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

 

 

 

友人がどうしてこの本を選んでくれたかは分かりませんが、私に、と選んでくれたこの本はとても特別な一冊です。

 

ロシア語同時通訳で有名な著者が幼少期通っていたチェコソビエト学校での同級生との出来事を軸に話が進んでいきます。激動の時代を生き抜いた少女たちが大人になってそれぞれの居場所を見つけるまでを筆者の繊細な視点で描かれています。

 

この本を通して感じたことは、筆者は実に聡明な女性だということです。筆者の繊細な視点は、決して強く主張することのない聡明さがひとつひとつの文章に滲み出ていると感じました。

 

共産主義に翻弄される少女たち

 

実を言うと、私は、この本のキーワードになっている共産主義について全くの無知でした。共産党の関係者を親に持つ少女たちの思い描く共産主義の理想はそれぞれ少しずつ異なっていましたが、全員に共通して言えることはその理想の共産主義に翻弄されながら大人になっていきます。大人になって真実を知る子もいれば、子供の時の純真さを信じて疑わないまま大人になった子もいます。

 

一言で共産主義といっても、その国々によって理想とするものは異なっているという点が興味深かったです。私は国際情勢や歴史についてもほとんど無知だったので、もっと勉強した後に読むとまた違った印象を受けて楽しめるんだろうなと、自分の無知さを恥じました。

 

アイデンティティとは

 

この本を通して強く感じたことは、アイデンティティとは何かということです。それぞれ故郷を離れて、いつも故郷を愛おしく思い、愛国心がとても強く、自分が何者かを幼い頃からはっきりと分かっているようでした。

 

日本は多民族国家ではないので、小さい頃から日本国民である意識や、愛国心というものはあまり感じられませんが、この本を通して自分が何者かという問いが出てきました。

 

私は、高校時代はインターナショナルスクールに在籍していたことや留学経験もあり、一般的な日本人よりは、自分が日本人であるという自覚はあるつもりでしたが、幼い頃から自分は◯◯人だというここまでの意識はありませんでした。

 

戦争を身近に感じる

 

激動の時代を生き抜いた彼女たちですが、大人になって見つけ出した居場所は人それぞれでした。その中でも、共産主義と資本主義が争っていた冷戦時代やベルリンの壁の崩壊、共産主義は世界の歴史において、強いショックを与えたのは言うまでもありません。

 

最後のお話の白い都のヤスミンカでは、民族紛争が筆者の友人の住んでいる故郷で起こっているという事実に、戦争は遠い国で起こっているものというイメージが覆されます。私も海外に友人はたくさんいますが、友人たちが住んでいる国で戦争が起こったら、気が気でなくなります。

 

戦争を身近に感じるということが、自分のアイデンティティや世界の向かう方向に対しての考え方を形成していくのではないかとも思います。

 

そして、これらは全て作られたフィクションではなく、事実であるエッセイだということです。このお話の真実は、エッセイであることだと思います。

 

 

最後に

 

余談ですが、筆者をはじめ、友人たちは母国語と外国語を操るバイリンガルトリリンガル、それ以上のマルチリンガルで、言語オタクの私としては羨ましい限りでした。

 

しかし、この本を読んでいくと、どの言語を話すのかは問題ではなく、個人としての考え方がアイデンティティとして非常に重要なものだと考えられます。

 

国際社会において、自分の立ち位置やアイデンティティに悩んだ時に、また読みたくなる本でした。自分が何者かということを考えさせられました。

 

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久しぶりに読書感想文を書いてみると、あまりにもざっくりしていて、伝えたいことの1%も表現できていない気持ちでいっぱいです。この記事を読んで、この本を読んでみたいという興味が湧かない…。アウトプットの大切さを痛感します